ECサイトで活躍するチャットボット。チャット型コマースとは?

コラム

家族や友人と連絡をとる時、または社内での連絡手段として、今や主要なツールとなっているチャット。実は現在、その便利さと機能性をショッピングに結びつけた「チャット型コマース」が注目を集めています。

今後、ECサイトの多くはチャット型コマースを取り入れたCC(会話型コマース)サイトになると見られており、商品やサービスを販売する企業であれば、知識として理解しておいた方が良いと言えるでしょう。

今回はそんなチャット型コマースと、そのシステムを支えるチャットボットの関係をご説明します。

チャット型コマースとは?

チャット型コマースは、フェイスブックのメッセンジャーやLINEなどのチャット機能を利用して、チャットボットとユーザーが対話をしながら、商品やサービスの購入に繋げられる機能のことを言います。

この販売形式は、今までの“顧客が商品選びから購入まで全てを単独で行う”ことがメインのECサイトとは大きく異なり、“ちょっとページを開いてみただけ”に過ぎない偶然のユーザーを、サービスの利用や商品購入にまで繋げることが可能です。

ECサイトとチャット型コマースの違いを、少し詳しく見ていきましょう。

今までの主流「ECサイト

ECはElectronic Commerceの略で「電子商取引」という意味を持ちます。自社の商品やサービスをインターネット上で販売することを言いますが、それを行うサイトをECサイトと呼びます。

一般的なECサイトの作り方としては、Amazonや楽天など、多くのECサイトが集まった“モール”で構築する方法と、自社サイトに単独で構築する方法があります。イメージとしてはインターネット上にお店を出す、というもので良いでしょう。

ECサイトはインターネットを使って、日本中および世界中の人に商品やサービスを提供できます。販売方法としては、サイト上に商品やサービス、説明を載せて見込み顧客にアピールし、購入してもらえるのを待つというイメージです。

この場合、広告を出したりランディングページを作ったり、SNSで発信したりして多くのユーザーの目に留まるよう働きかけを行うことはできますが、ユーザーが今求めているものを、直接のやりとりで把握することはできません。

そのためユーザーが目的の商品やサービスを見つけられない場合は、購入に至らず離脱してしまうことも多くあります。

ただしネット上でウィンドウショッピングをしたい場合や、特に目的を持ってページの閲覧をしていない場合、自由にいろんな商品を閲覧できることはメリットであると言えるかもしれません。

注目を集める「チャット型コマース」

Web上の“店舗”に来て買い物をしてもらうECサイトとは違い、チャット型コマースはチャットができるサービスを利用して、まるで接客をしているかのようなやりとりを可能にした“会話型”の販売方法です。

現在はフェイスブックメッセンジャーやLINEを始めとして、さまざまなチャットアプリでチャット型コマースが導入されています。LINEであれば“お友達登録”やタイムライン上での広告などが、企業とユーザーが繋がるきっかけとなります。

お友達登録などで関わりのきっかけを持った後は、定期的な広告掲載やキャンペーンなどでターゲットにアプローチをかけ、商品やサービスの存在をより深く知ってもらいます。

ユーザーが興味を持って企業のチャットを開けば、そこからチャットボットによるコミュニケーションを行い、ユーザーが求める適切なものを提案して購入(決済)まで進んでもらうことが可能です。

チャット型コマースは海外でConversational Commerce(通称CC)と呼ばれており、利用することで今までのECサイトではできなかった“接客体験”を、チャットを通して提供することができます。

それによりエンゲージメント(ブランドとユーザーの親密性)の向上やブランディングが可能になり、より多くの顧客獲得および売上増加が期待できます。

チャット型コマースが注目されている背景は?

チャット型コマースは、海外ではすでに多く導入されており、大きな成果を挙げています。しかし日本で導入している企業はあまり多くなく、まだまだ需要の高まりが期待できるものだと言えるでしょう。

日本でチャット型コマースが注目され始めたのは2019年から2020年頃あたりですが、その背景にあるのは、2016年に行われたフェイスブックやLINEのメッセージAPI公開だと考えられます。

ユーザー数の多いメッセージングアプリは、今やコミュニケーションツールの定番とも言えるでしょう。そのためAPIの公開と共に、ビジネスとしての利用を考える企業が多くチャット型コマースの導入に乗り出し始めました。

チャットでコミュニケーションや販売を行うメリット

チャットアプリが多くの人に利用されている理由として、メールよりも気軽にコミュニケーションをとりやすいこと、リアルタイムでやりとりできることなどがあります。

また、既読表示などで“相手に見てもらえたかどうか”を把握できるため、安心感も高いと言えるでしょう。さらにスマートフォンを持つ人が増えたのも、チャットアプリが急速に人気を高めた要因のひとつであると考えられます。

電話やメールよりも使い勝手の良いチャットアプリは現代人のコミュニケーションにちょうど良いものだったため、あっという間に日常使いのツールへと浸透していきました。この流れをビジネスで活用できないかと考えたものがチャット型コマースです。

商品やサービスをインターネットで販売する場合、どうしても情報は一方的になりがちです。魅力的な商品がたくさん並んでいたとしても、ユーザーが求めるものを見つけられなかったり、少しでも気になった部分をすぐに解決できなかったりすればサイトからの離脱が起こり、購入に繋がりにくいと言えるでしょう。

しかし日常的に利用するチャットアプリを使ったチャット型コマースであれば、わざわざ企業のECサイトに来てもらわなくても、使い慣れたUIで、チャットボットを使ってユーザーが求める商品を提示することが可能です。

もしそれが意図したものではなかった場合でも、リアルタイムでのやりとりによってすぐに別の商品を提示することができます。

お問い合わせ窓口よりも気軽に利用でき、さらにリアルタイムでユーザーが求めるものをまるで接客するように導き出せること、これがチャットでコミュニケーションや販売を行う大きなメリットであると言えるでしょう。

チャット型コマースでチャットボットを利用するメリット

前述したように、チャット型コマースはチャットボットによる“会話”で商品やサービスの販売を行います。

そのためチャットボットはチャット型コマースの核とも言える重要なもので、種類や機能、AIの有無などを含め、本当に自社のチャット型コマースに合ったものはどれなのかを慎重に判断する必要があります。

チャット型コマースでチャットボットを利用するメリットは、24時間365日いつでも対応可能なこと、ある程度のやりとりであればこなせるために人的コストを削減できることなどがあります。ただし、チャットボットのタイプによってメリット・デメリットもあるので、しっかりと把握しておきましょう。

AIを使わないチャットボットはあらかじめプログラムされた内容しか返すことができませんが、間違った返答はしないというメリットがあります。

AIを使ったチャットボットは、蓄積したデータを学習して複雑な質問に答えられるほか、人と会話するようななめらかな返答を行うことが可能です。その反面、質問の意図に添わない返答をする可能性があることや、導入時に膨大な量のデータ蓄積が必要など、注意すべき点もあります。

チャットボットを導入しているからと言って、問い合わせ対応を行うオペレーターがゼロで良いかと言えばそうではありません。チャットボットで対応しきれないやりとりなどはきちんと人がサポートする必要があるため、しっかりと理解しておきましょう。

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チャット型コマースの進化で、今後は買い物がもっと簡単・便利に

気軽に利用できるチャットを使って、求める商品やサービスを簡単に購入できるチャット型コマースは、さらなる参入企業の増加とチャットボットの進化により、内容や使い勝手共に充実していくと見られています。

また、チャット型コマースは非接触型のサービスでありながら、まるで実店舗で接客を受けているような体験をすることができます。これは今後も需要があり続ける販売方法であると考えられるため、積極的な導入のメリットは大きいと言えるでしょう。 チャット型コマース導入の際は、ユーザー視点に立って「どのようなサービスだと嬉しいか、使いやすいか」を考え、実装していく必要があります。ユーザー・企業共に満足度の高い売買ができるよう、自社に合ったチャット型コマースの方法を検討してみましょう。

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