RAGチャットボットが営業現場の「困った」を即解決|活用例と導入メリットを詳しく解説

コラム

近年、営業部門ではSFAやCRMの導入が進み、業務効率化が進んでいます。しかし、一方で「ナレッジの属人化」「情報共有の非効率」といった根深い課題が残っているのも事実です。

これらの課題を解決する鍵として注目されているのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を活用したAIチャットボットです。本記事では、営業現場が抱える具体的な「困った」を、RAGチャットボットがどのように解決するのか、具体的な活用例と導入メリットを詳しく解説します。

営業部門が抱える5つの「困った」とRAGチャットボットによる解決策

営業部門が抱える5つの「困った」

営業現場では、以下のような情報共有に関する問題が日々発生しています。これらの情報は蓄積されていたとしても検索性が低く、必要なときに活用しにくいという問題があります。これらは、RAGチャットボットを導入することで劇的に改善できます。

商談中に顧客から予期せぬ質問が来た

解決する具体的な問題: 顧客から自社製品の技術的な詳細や、競合他社との比較について深く突っ込まれたが、手元の資料やマニュアルには記載がない。社内チャットで聞いてもすぐに返事が来ず、顧客を待たせてしまう。

RAGチャットボットによる解決策: 商談中にタブレットやスマートフォンからチャットボットに「〇〇(製品名)の技術仕様と、△△(競合製品名)との違いを教えて」と質問。RAGは製品情報や競合分析資料、過去の議事録などから関連情報を瞬時に探し出し、的確な回答を生成します。顧客を待たせることなく、プロフェッショナルな対応が可能です。

新人営業が膨大なマニュアルを覚えられない

解決する具体的な問題: 見積書の作成手順や承認ルートが複雑で、マニュアルを読んでもどこに何が書いてあるか分からない。毎回先輩に同じことを聞いてしまい、先輩の時間を奪ってしまう。

RAGチャットボットによる解決策: 新人営業は「見積書の作成方法と承認ルートを教えて」とチャットボットに質問するだけで、社内規定や業務マニュアルから該当箇所を分かりやすくまとめた回答を得られます。これにより、自律的に業務を進められるようになり、先輩の教育コストを削減できます。

過去の成功事例や失敗事例を探すのが大変

解決する具体的な問題: 似たような案件を担当することになったが、過去の事例を社内のファイルサーバーで探しても、ファイル名だけでは中身が分からず、どれが参考になるのか分からない。ベテラン社員のノウハウが共有されず、属人化している。

RAGチャットボットによる解決策: 「〇〇業界のB社に提案した際の成功事例は?」「過去に契約トラブルになった事例とその対応策は?」といった具体的な質問をするだけで、SFAやナレッジ管理ツールに蓄積された情報を横断的に検索し、関連性の高い事例を提示します。これにより、ノウハウが共有され、部門全体の営業力向上につながります。

法令改正やコンプライアンスに関する情報が不明

解決する具体的な問題: 営業活動に関わる法令(例:特定商取引法)が改正されたことを知ったが、最新の情報をどこで確認すれば良いか分からない。誤った情報を顧客に伝えてしまい、トラブルになるリスクがある。

RAGチャットボットによる解決策: 法務部門が共有した最新の法令情報やコンプライアンスガイドラインをRAGに登録しておけば、「最近の個人情報保護法改正について教えて」と質問するだけで、要点をまとめた回答がすぐに得られます。これにより、コンプライアンス違反のリスクを回避し、顧客からの信頼も得られます。

担当者ごとに対応がバラバラになる

解決する具体的な問題: 顧客からのクレーム対応について、担当者ごとに対応方法が異なり、統一されたサービスを提供できていない。トラブルがさらに拡大するリスクがある。

RAGチャットボットによる解決策: 過去のトラブル事例や解決策、エスカレーションルートをRAGに集約。担当者は「〇〇(製品名)に関するクレーム対応の成功事例は?」と質問することで、統一された最善の対応策を迅速に得られます。これにより、顧客満足度の向上と、トラブルの早期解決が可能になります。

RAGチャットボットの導入

上記のような営業部門の課題解決には、RAGチャットボットの導入が効果的です。

RAGとは?

RAG(検索拡張生成)とは、社内のドキュメント等を元にしたデータベースから欲しい情報を検索し、その中から関連性の高い情報を選択して、生成AIによって回答を生成するという「検索→選択→生成」のプロセスを経て回答を作る技術です。この手法により、通常のLLM単独では不可能な企業独自の情報や、最新情報を取り扱うことが可能となります。

営業部門の場合であれば、独自情報として商品の最新情報や成功事例・失敗事例、法規の改正情報などをRAGにアップロードすることで、AIチャットボットを使った情報の検索がしやすくなり、また情報の精度も上がるため営業効率の改善につながります。

具体的な活用シーン

営業の進め方に関する質問と回答例

例えば新人社員が先輩にすぐ相談できない状況などで、よくあるトラブルの対応方法や基本的な商談の進め方について質問して解決策を見つけることができます。
元データの例:「営業マニュアル」や「トークスクリプト」などを活用

難航中の営業交渉に対する質問の回答例

例えば商談中にマニュアルでは対応しきれない特殊な状況が発生しても、過去の同じようなケースにおける対処方法が分かりやすく整理された形で提示されるため、迅速に対応することができます。
元データの例:SFAやナレッジマネジメントツールに保存されている、「商談の交渉経緯や議事録」を活用

客先との契約締結に関わる質問と回答例

例えば、契約書や規約の内容について「法務担当に確認するほどではないけれど、すぐに答えが欲しい」という場合、すぐに必要な情報を取得できます。これにより、営業担当者は迅速に顧客からの質問に答えたり、交渉をスムーズに進めたりすることが可能になります。
元データの例:「契約書のひな形」や「締結済みの契約書」を活用

RAGチャットボット導入後の効果

RAGチャットボットを導入することで、営業部門では以下のような効果が期待できるでしょう。

営業効率の向上・属人化防止

営業効率の向上

成功事例(受注事例やトラブルの解決事例)を共有することにより、無駄な営業行動が減少し営業効率が向上します。また事例や情報を検索する時間も低減されます。

属人化の解消・防止

部門内の情報共有が進むことにより、今までベテランだけがもっていたノウハウが共有されるようになり、属人化の解消や防止につながります。

商品やサービスの情報共有

情報が一元管理されるので、商品やサービスの最新情報が共有できるようになります。情報管理がしやすくなることはもちろん、顧客に古い情報や間違った情報を提供してしまうトラブルの防止にもなります。

営業に関わる法令の情報共有

営業やマーケティングに関わる法令の新設や更新の情報を共有することにより、法令違反を犯してしまうリスクを回避できます。

情報のメンテナンスが容易になる

情報が拡散していると、追加や更新が適切に行われなくなります。すべての情報をRAGに格納するルールを作れば、情報の追加や更新などのメンテナンスが容易になります。

顧客とのトラブル防止・早期収束

トラブル対応の共有

過去の顧客とのトラブル事例を共有することにより、統一された対応が可能になります。仮に同一顧客で違うトラブル対応を行ってしまった場合には、更なるトラブルに発展することも考えられます。

トラブルの早期収束

過去のトラブル事例を参考に解決策を模索することで、トラブルへの迅速な対応と早期収束が可能になります。

営業パーソンの早期育成

以前は経験を積むことで育成されていた営業パーソンですが、過去事例や社内規程、業務手順を共有することにより、育成工数の削減と早期育成が可能になります。

RAGチャットボット選定のポイント

情報検索や情報共有においてメリットの多いRAGチャットボットですが、選定にはいくつかのポイントがあります。

ハルシネーションを軽減する仕組みがあること

RAGに格納されている情報以上の質問があった場合には、生成AIの特徴としてハルシネーション(AIによる誤情報の提供)が発生する可能性があります。そのため、以下のような対策がしてあるかはとても重要なポイントです。

・回答生成に利用する情報の抽出精度を高める工夫がしてある

・AIの回答が正確であることを確認するためのファクトチェックを行う仕組みが整っている

・最新の言語モデルを利用している

元となるデータの管理がしやすいこと

扱えるデータ(フォーマット)の種類が豊富どうか、また元となる情報(各種資料やマニュアルなど)に変更や更新があった場合にすぐに反映できるような、管理しやすいシステムとなっているかが重要です。

・PDF、Excel、Word、PowerPoint、テキストなど、さまざまなフォーマットのデータを扱える

・ファイルの追加・削除が簡単に行え、短時間でベクトルDB化できる

価格体系が明確であること

従量課金ではなく、数種類の定額プランが用意されている方が予算を立てやすくなります。また初期導入費用やサポート費用が別途かかる場合もあるので、価格体系が明確になっているかどうかを導入前に確認しましょう。

※【ハルシネーション軽減の仕組み】【元データの管理のしやすさ】【価格体系が明確】といったポイントを満たすイクシーズラボ社のRAG機能「CAIWA Service Viii Powered by ChatGPT API」をご紹介します。

CAIWA Service Viii Powered by ChatGPT API(RAG)について

ViiixRAG

CAIWA Service ViiiのRAGは、大きく2つの機能をもっています。

ChatGPT応答機能

CAIWA Service ViiiのRAG は、CAIWA(独自開発AI)とChatGPT(生成AI)の回答を比較できます。この機能は誤情報を提示するリスクがないCAIWAと、広範な対応ができるChatGPTの利点を合わせ、いわば両方の「いいとこどり」を実現した機能です。また回答の精度を上げるため、RAGは回答生成に利用するドキュメントを1つに絞り込みます。また生成元ファイルも表示されるので、必要に応じてファイルの内容を確認しファクトチェックすることが可能となっています。CAIWA Service ViiiのRAG は、これらの機能により精度の高い回答とハルシネーションリスクの回避を実現しています。

本機能の事前設定は生成元ファイル(PDFやPowerPoint、Word、Excel、テキスト、CSV形式のファイル)をアップロードするのみで、即利用が可能です。

Q&A自動生成機能

CAIWA Service ViiiのRAGには、クリック1回でQ&Aを自動生成する機能があります。RAGにアップロードした生成元ファイルから生成されるQ&Aは、CAIWAの知識データやチャットの回答データとして活用します。

言語認識精度が高くメンテナンスも楽なCAIWA Service Viii

CAIWA Service Viiiは、RAG以外にも以下のような特徴をもっています。

高い言語認識精度

CAIWAは、高度な概念辞書と自然言語処理アルゴリズムを活用することで、少ないデータ登録でも高い言語認識精度を実現しています。とくに正確な理解が難しいとされる日本語においては、豊富な利用実績を背景に高い信頼性と安定性を誇ります。また、英語にも対応しており海外での利用実績もあります。

簡単構築、らくらく運用

直感的に扱える管理ツール「CAIWA ROBOT MANAGER」と、ChatGPT API連携機能で構築・運用の手間を解消しています。とくにRAG機能の事前設定は、ファイルをアップロードするのみのカンタン構築です。

各種連携機能多数

ChatGPT APIやMicrosoft Teams、LINEとの連携、翻訳システムとの連携による多言語対応など、外部システムやアプリケーションと連携することで幅広い顧客ニーズに対応します。

オンプレミスについて

CAIWA Service Viiiはクラウドでの運用だけでなく、オンプレミス(自社内サーバでのシステム運用)にも対応しています。どちらを導入されるかは、お客様のポリシーに合わせて柔軟な対応が可能です。導入実績も豊富なため、これまでの知見を生かし充実した導入支援を行うことが可能です。

ただし、RAG(ChatGPT連携機能)機能に関しては、外部のLLMを利用する都合上、オンプレミスでの提供には対応していません。

導入コストについて

Q&A自動生成機能はCAIWA Service Viiiの標準機能で、他の応答機能は一律で低価格となっています。詳しくは株式会社イクシーズラボの営業担当に直接お尋ねください。

まとめ

企業の営業部門では、SFAやCRMの導入により商談管理が効率化される一方、成功事例や失敗事例、法改正情報などの共有不足が課題となっています。これらの情報を効率的に活用するためには、RAGを活用したAIチャットボットの導入が有効です。RAGはデータベースを活用し、正確な情報を迅速に提供できる技術です。RAGを活用したAIチャットボットは営業効率の向上や属人化解消、新人の育成迅速化など、営業部門全体の生産性向上に寄与します。